読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

NIKKI

なんかお腹痛いなぁ…って思った時に書いてるブログ

母ちゃんの焼きそば



土曜日午後1時15分。玄関の扉を開けると油の弾け飛ぶ音と焼きそばの匂いがした。部活でクタクタになった僕は母ちゃんに「まだぁー?」と急かす。母ちゃんは「はよ靴下洗濯機中に入れよ。臭いから。」と質問には答えなかった。もっとも、僕だってその匂いでもうちょっとで焼きそばができることなんて分かっているのだが。




母ちゃんの作る焼きそばは特別美味かったわけではないが何故か印象に残っている。部活の終わった土曜日の午後。僕の方にかなり多めに盛り付けされた二人分の焼きそば。目玉焼きもトッピングされている。昼のテレビを見ながら母ちゃんと食べる、平和な空間だった。





金曜日午前11時15分。無性にあの頃が懐かしくなった僕はスーパーで焼きそばを買ってきた。久しぶりに使うフライパン。お洒落のつもりで使ったごま油。普段自炊なんてしてなくても焼きそばなんてすぐに作れた。野菜は家の隣の畑で採れたてのものではなく、ただのもやしオンリーだけど。肉も外国産のクソ安いやつだけど。トッピングの目玉焼きは忘れない。それだけで昔の味に戻れた気がした。一人でちょっと笑顔になった。




別に母親とは疎遠になっているわけではない。気持ち悪いかもしれないが3日に一回はLINEするし、電話すれば2時間は話は尽きない。自分で言うのもなんだが、この年になってもかなり仲のいい親子だと思う。だけどあの瞬間の母親は、いや、母ちゃんはあの瞬間しかいなくて、もちろん今の母親も今この瞬間にしかいない。なんだかそれがむず痒いような懐かしいような、表現できない感覚なのだ。でもちょっとだけあの平和な空間を焼きそばで再現できたことに満足感は覚えてる。そんな大学3年の金曜、お昼時の出来事。