NIKKI

なんかお腹痛いなぁ…って思った時に書いてるブログ

エロの真髄

 

結局の所、女子アナに思える。それもテレ朝などのキー局ではなく、ローカル局の三十代の女子アナだ。

僕の住んでいる長野県では、月一ほどのペースでゴールデンタイムに長野の美味しいお店を地元局のアナウンサーが巡る番組が放映されている。これが案外面白い、という訳ではないのだが、他の局はクイズ番組ばかりで興味もないし、家の近くの店でも紹介されないかな、と思いながら毎回最後まで観てしまうのだ。この番組を見始めた頃は、ご飯の特集ばかりでありきたりな構成だったのだが、最近は女子アナが温泉に入るようになり、少しお色気路線に走り出したのだ。ここまではどの地方都市でもよくある光景だと思うのだが、この番組のプロデューサーには、趣きがある。普通、温泉に入ってレポートをするのは入社したての若手女子アナの方が視聴率も伸びると思うのだが、なぜか三十代中盤くらいの中堅どころの女子アナばかりが風呂に入らされている。彼女らは淡々とレポートしながらも、

「え?なんで私が? もっと若い子の方が需要あるんじゃないの?」

という戸惑いの顔を隠すように湯に浸かり、一生懸命お湯の心地良さを伝えている。そのレポートには安定感があり、ベテランの風格が漂っているのだが、その奥には初々しい恥じらいも見え隠れしており、それがエロとなって滲み出ているのだ。

キー局のアナウンサーのように、欠点のない美貌ではないところも、また味わいがある。その辺のスーパー(ツルヤ)で買い物してそう感がリアリティを増幅させているのだ。普通にエノキを2パック買っていそうだし、柴犬と何かのミックス犬を飼って、「徳次郎」のような名前を付けてそうだ。たぶんディレクターからは、

「まだ結婚しないの〜?そろそろ貰ってくれる人いなくなっちゃうよ〜」

とか言われてそうだし、家で一人で鍋でも食べながら、そういう何気ない一言を踏みにじるかのようにスーパードライをガブ飲みしてそうだ。

僕は、心底からそういうタイプの女性が好きなのだが、結局のところエロとは想像だ。急に全裸の女性が目の前に現れたとしても興奮はしないけども、見えるか見えないかギリギリの短いスカートを履いたギャルや、胸の輪郭を強調するかのようなセーターを着ているOLを見かけると、金の玉が思わず光る。だから、コスプレ物のAVは永久に不滅だし、マジックミラー号は今日もどこかで走り続ける。

そんなことを考えるに、おそらく僕は三十代の女子アナというよりも、その日常生活が想像できるような、そういう女性のバスタオル姿に興奮しているに過ぎない。だから、特定女子アナのファンになることもないし、仮にAVデビューしたとしても買うことはないだろう。サンプル動画だけは一応見ておくけど。

この理論を応用するに、セックスレスの夫婦というのは想像力の欠如なのだ。男というものは(女は知らんけど)悲しいことに、既に知ってしまったエロについての興味は、反比例のように失っていく。それ故に、何年も一緒に暮らしている女性に対しては、服を着ていようと全裸になろうと金の玉の光り具合には関係がないのだ。

実際に、大学時代に二年ほど付き合った彼女と半同棲生活になったとき、我が玉は黄金の輝きを失っていた。澱んだビー玉のようだった。

「そういえば今週、一回もしてないじゃん」

そんな彼女の言葉がチクリと刺さったのだが、肝心の竿はピクリとも動かなかった。

そしてその時、僕は彼女に背を向けながら誓ったのだ。この理論を打破できる、セックスレス解消理論を構築できるまでは結婚しないぞ、と。二十二歳の時だった。

それから四年後の今、僕は三十代の女子アナに興奮してばかりで、一向に進めないままでいる。