NIKKI

なんかお腹痛いなぁ…って思った時に書いてるブログ

糞の名は

 

例えば就職活動などで「あなたの短所はなんですか?」と聞かれれば迷いなく「お腹が弱いところです。」と答えたくなるほど僕はお腹が弱い。なんというか緊張したり長時間トイレに行けないような状況になるとほぼ100%強烈な腹痛が襲う。
額を流れる冷や汗、下腹部をさする左手、そしてマックスパワーの肛門。何度経験したことか。そんな僕の最大の敵は電車。特に満員電車は天敵である。車内でのガス攻撃により幾度もテロを起こしたことがある。幸いにも自爆テロまで発展したことはまだないが、正直時間の問題であるとひしひしと感じている。

 

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1月の中旬、普段電車にあまり乗らない僕はバイトのために朝の満員電車に揺られていた。腸も揺れていた。なんかもう電車乗る前からこれはアカンやろなぁ〜って雰囲気は漂っていた。分かっていた。全部。曲がりなりにも22年の経験値が蓄積された僕はそんなバカじゃない。賢い僕はすぐに電車を降りた。
"雰囲気で察しろ"
肛門担当大臣が総司令部に迅速な対応を要求し、僕はそれに従った。
この経験に基づいた対処により僕はスッキリできた。ええ、とても。

人間というのはスッキリするととてもいい気分になる。そして調子に乗る。調子に乗ると色んな考えが頭に浮かんで来る。腹痛時には考えられないほどのクリエイティビティーを手にした僕は再び乗った満員電車でこんなことを考えた。考えてしまった。
"僕は無敵"
肛門になんのプレッシャーもない僕は無敵。そう、たとえ人身事故で電車が止まったとしても無敵。そんなことを考えた。考えてしまったのだ。

 

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その考えが浮かんだ瞬間に下腹部に妙な緊張感が走る。勝って兜の緒を締めよとはよく言われるが、本当に締めるべきは肛門であったのだ。
案の定自ら生み出したプレッシャーにより猛烈な腹痛が再び僕を襲う。
その瞬間、「ピ ピ ピ ピ ピッー!」
電車の緊急停止音が車内に、そして僕の腸内に響き渡る。まもなくして、
「この電車は前の電車で発生した人身事故によりしばらく停止致します。」
という車掌からの死刑宣告が僕に下った。


糞の魔の手から逃げるためには幾らかの手段がある。例えば発想の逆転。
"逆にお腹痛くないんじゃね?"
と自分に言い聞かせマインドコントロールすることによって腹痛から脱する。これは非常に高等な技術であるため長年の経験が不可欠である。いきなりやろうと思ってできるものはいない。もしそんな人がいたとすればそれは天才である。うんこの天才。
長年の経験を有する僕はマインドコントロールでの解決を図った。僕のお腹は痛くない。痛くない。痛くない。時には赤ん坊をあやすように、時には親の仇を討つかのように、いろんな表情で語りかけること約500回。やっと腹痛は治ったのだ。というか電車が動き出したのだ。頭の中で尾崎豊が歌い叫ぶ。
"この支配からの卒業〜っ!"

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こんな糞みたいな経験を糞のようにしてきた僕は糞が大嫌いだ。とても憎んでいる。糞ほど憎んでいる。
けれども相手を憎むことは誰にだってできるし、その憎しみが新たな悲しみを生むことなんて人類の歴史上どれだけあったことか。中東諸国では毎日のように血で血を洗う戦いが起こっている。その結果無実の子供たちがたくさん犠牲になっているという悲しい現実もある。僕は彼らから学ばなくてはならない。糞を糞ほど憎んで、糞を糞で洗うような戦いを避けなければならない。僕は生まれ変わりたい。糞を心から愛せる人間に。

 


じゃあ一体どうすればいいんだろう?一晩中悩んだ結果、僕は名前をつけることにした。糞の名を。
多くの人がペットに名前をつけるように僕も糞に名前をつける。そう決意した日の朝、僕はうんこをした。いや、もうただのうんこではない。彼の名は"鍋太郎"
勘のいい皆さんならなんとなくその理由もわかってくれるだろう。
強い決意とともにこの世に生を受けた鍋太郎は僕が大のボタンを押すと同時に虚しくもブラックホールへと吸い込まれていった。
あぁ、この世界に愛なんて存在するのだろうか?いつまでも僕は信じていたい。

 

(和歌山県の下の方を走る電車の中で執筆。ちょっとおなか痛い。)