NIKKI

なんかお腹痛いなぁ…って思った時に書いてるブログ

里山バックカントリー 〜オッサン達に憧れて〜

 

朝5時。まだ星が散らばる中、会社の駐車場に集まった。今日は会社の山岳会の人たちとの記念すべき初の山行だ。コロナが出始めた頃に入社した僕(2年目)は、山岳会に名前だけ連ねてはいたが、歓迎会や山行が催されることもなく、ただの幽霊会員と化していた。夏であれば一人でだいたいのところはいけるから特に気にはしていなかったのだが、問題は冬。木曽駒ヶ岳八ヶ岳などの人が多く、登山道がはっきりした山なら一人でも問題はなかったが、今年から始めようとしていた里山でのバックカントリーは非常に難しいところがあった。登り方とか、登攀技術とか、そういった登山に纏わることの前に、車の置き場所。そこから分からなかった。里山というのはアルプスの山々と比べて大変マイナーであり、なおかつ冬に登る人なんて大変少ない。そのため、正式な駐車場なんてないし、登山口もはっきりとしていない。その辺りをネットで調べても曖昧な情報ばかりで、大変困っていたのだ。

そんな折、山岳会のLINEグループが突然動き、真名板山(小谷村にある里山雨飾山などの眺望がいいらしい)へのバックカントリーのお誘いを貰った。このチャンスを逃す手はない!必ずやオッサン達の知識と技術を盗まなければ!と思った僕は、やる気満々で参加を表明。そうして、朝5時。よく知らない会社のオッサン達(割と偉い)と集っていた。

 

四駆の車とルーフボックスを併せ持つ僕は、オッサン達からすると神のような存在だっただろう。子育てをひと段落したオッサン達は小さな車に乗り換え、車も二駆になっていた。そのため必然的に目的地までは僕の車で移動(現地の駐車スペースが狭く、一台で行きたいため)することになった。初対面の課長・部長クラスのオッサンたちを車に乗せ、僕の車は小谷村に向かう。こういう時に困るのが、BGMはどうしたらいいんだ問題だ。無難にラジオ、という手もあるが、いったんは僕の好きなダイアナ・ロスローリングストーンズなどの70〜80年代のファンクやロックを流してみた。すると、これがバカ受け。「これCD持ってるよ!」「昔ストーンズのライブに行ったんだよ!」と激アツなリアクションを貰い、入社2年目の25歳とは思えぬファインプレーをかました。やはりオールドミュージックは聴いておくべきだぞ、同期諸君。(注:ビートルズは優等生の音楽、と言われストーンズに戻された)

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2時間ほど運転して駐車場につくと、もう日は昇っていた。さっそくスキーにシールを装着し、歩き始める。始めは雪で埋もれた林道を10分ほど歩くと、いよいよ樹林帯に突入した。冬の山というのは雪で全てが埋もれるため、夏と違って登山道が存在しない。そのため、頂上に向かって自分で考えて進んでいかなければならない。さらにスキー板で登るため、できるだけ急斜面は避けたい。僕は、こうした条件の中で登る経験は非常に浅いため、地図の読み方や、ジグザグの切り方は見ていて面白いし、勉強になる。それに、まだキックターンすらスムーズにできない僕に、あれこれと優しく教えてくれるので、大変ありがたい。やはりオッサン達についてきてよかった。時には僕を先頭に立たせ、「自分で考えて歩いてみな」と口で説明するだけでなく、体験と共に教えてくれた。試されてんな、自分。と思ったが、やはり、会社でそこそこの地位についている人は教え方が上手い。自分で全てを考えて計画・管理をしないと楽しめないバックカントリーがしっかりできれば仕事も上手くできるだろうし、仕事が上手くできていれば、バックカントリーの上達も早いのだろうな。

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そうこうしている内に(5時間)山頂に到達。途中で急斜面でのキックターンができない僕が、気合いのツボ足登攀を余儀なくされる、などの迷惑はいくつかかけてしまったが、なんとか登頂。夏はなんてことない山が、冬にはかなりの難易度になるというのも面白いし、ここにはスキー板でなければ来れない、ということももっと面白い。ツボ足登攀中、全身が雪に埋まりそうになった僕に「スキー板ってすごいよな。人間が普通じゃこれない場所に行けるようになるんだからよ。」とストーンズ好きのオッサンが言った言葉が染みる。滑りだけじゃなく、登山道具としてのスキー。とても面白さを感じるし、それと同じくらい危険もあるってことだ。

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少し休憩して、お待ちかねの滑走の時間。急に雲がかかって視界が悪くなるが、なんとか滑る。密集した木が邪魔でゲレンデのようには滑れないが、大変面白い。自分で登ってきたからこそ味わえる興奮というか、足の底あたりから変な興奮成分が分泌されて、頭まで昇っていく感じがする。雪質は重く湿っており、パウダーには程遠いが、なんとか滑ることはできた。

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お互い動画を撮り合ったりしながら、ゆっくり滑って1時間ほどで下山完了。楽だわ。下山めっちゃ楽だわ。楽だし楽しいしスキーって素晴らしいね。天気がいいパウダーだったらもっともっと楽しいんだろうなぁ〜。あ〜。またすぐに行きたい、と思える山行でした。

帰りは怪しげな温泉に入り、再びローリングストーンズを流しながら帰宅。19時ごろに解散。いやー、それにしても朝早く起きてそこそこハードな山行をして、この時間まで元気なオッサンってすごいね。もう定年間近なのに。僕もこういうオッサンになりてえなぁ。なんとか今のうちに技術・経験・知識を学ばなければ。こちらからは四駆とルーフボックスしか提供できないが。。。

 

 

(永久に借りてていいよ、とビーコンとゾンデ棒を貸していただいた。ありがたい。)