NIKKI

なんかお腹痛いなぁ…って思った時に書いてるブログ

廃スキー場遊び

 

どうしてもバックカントリースキーというと、めちゃくちゃスキーが上手い人じゃないと、とか、登山をしっかり極めた人がやるもの、というイメージがあると思う。実際そういう部分はもちろんあるんだけれど、そういうバックカントリーよりももっとお手軽に、安全に雪山で遊べる場所がある。そう、廃スキー場だ。

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僕が一番最初にバックカントリーなるものに触れたのは旧飯綱高原スキー場だった。今は利尻島で道路工事やキャバ嬢の送迎、バーテンダーなどのバイトと塾講師(本業)をしている男に誘われて、始めてみたのだ。スキー場前の駐車場でいざ登るぞ!となった時に、致命的なのだが、まず道具の使い方が分からなかった。バックカントリースキーではシールと呼ばれる、アザラシの毛皮のような布をスキー板の裏に貼るのだけれど、僕は間違えてそれを上下反対にして貼ってしまったのだ。そうすると、シールの表面の毛が逆立つ方向が反対になってしまって、全く登ることができない。必死に登ろうとするも、そんなことに気づかなかった僕は、なんで!?なんで!?と叫びながら、駐車場からスキー場まで上がることが出来なかった。これが記念すべき第1回目のバックカントリースキーである。

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2回目はその次の週くらいで、さすがに勉強した僕は正しくシールをつけて登ることができるようになった。利尻島の彼(当時は長野在住だったが、ホームレス。車で暮らしていた。)と、他の仲間たち数人で、同じくかつて飯綱高原スキー場だったところを登って、その辺のいい感じのところを滑る、というのを何回も繰り返した。そのうち飽きてくるので、持ってきたスコップで簡単なキッカーを作り、ちょっとしたジャンプを試みるが、案の定着地に失敗して深雪に突き刺さる。それを見てみんなで笑う、ということをしていると、スノーシューで歩いてきたお爺さん二人組と遭遇した。少し話をすると、どうやら飯綱高原スキー場の管理人だった人らしく、「もう誰も使わなくなったから、思い切り遊んでやってください」と言ってくれた。この日からずっと、僕の心の中でこの言葉が残っていて、なんだか廃スキー場が愛おしく思えてきたのだ。

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それから約1年後の今日は、旧白馬みねかたスキー場に遊びに行った。ここのスキー場は普通のゲレンデだけではなくてクロスカントリー用の周回コースがあったらしく、そこを歩いてみたいと思った。駐車場に車を停めると既に先客が1組いた。彼らのトレースをありがたく頂戴しながら追いつくと、中年くらいの夫婦と黒い大型犬だということが分かった。すごい。犬連れて登るんだ。めちゃめちゃ憧れるぞ、これ。犬も楽しくて仕方がない様子で、自らラッセルして道を切り開いていた。軽く挨拶をすると、「僕らはこの辺で遊んでるんで。お気をつけて。」と言われて、そこからは自分でラッセルしなくてはいけなくなった。もっと犬を見ていたかったのに。それからは順調に進むも、ゲレンデのトップまでもう少しというところで、細かい木々の密集団が急に現れて、え?本当にこの上にクロカンのコースあるの?となった。半信半疑のまま木の枝を掻い潜って進むと、なだらかな平地が見えた。あるじゃん!クロカンのコースあるじゃん!ウキウキになりながらコースを歩く。たまに雪の上に落書きなんかをしながら。しばらく歩いていると、白馬の他のスキー場がはっきりと見える眺望スポットや、壊れかけている山小屋があった。かつての姿を想像すると悲しいが、こういった寂れた場所で寂れた建物を見るのは結構楽しい。だけどもあまりに寂れすぎていて、一人じゃ寂しくなってきたので、持ってきたスピーカーの電源をつけて爆音で音楽を鳴らす。vulfpeckのwait for the momentを歌いながら細まった道を30分ほど進むと、樹林帯に入り込んで、この先の道がどれなのかよく分からなくなった。今日はこの辺までか、と腰を下ろし、カップ麺にお湯を注いで3分待っている間に、こんなに楽しいことはないよな、としみじみ思った。どこまで進むかも、どれくらいの音量で音楽を鳴らすかも、どこでご飯を食べるかも自由。全部自分の好きなタイミングでやればいい。いろんなものに縛られた社会の中で生きていると、なおさら、こういうさり気ない自由がとても気持ちよく思える。たぶん僕はこの時間で人間を取り戻しているのだ。なくてはならない、持続可能性のための時間。まさにSDGs環境負荷も0!

だからね、スキーが苦手な人でも(僕もそう)、登山やったことない人でも、廃スキー場で遊ぼう!

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(正味、道具に金はかかる)